東大寺と並ぶ奈良の観光名所として知られており、「古都奈良の文化財」として世界遺産にも登録されている春日大社。
768年に称徳天皇の勅命によって御蓋山の麓に創健され、日本全国に約3,000社ある春日大社の総本山ですね。
また開運や縁結びなどの強力なパワースポットとしても有名で、地元客だけでなく海外含めた数多くの観光客が毎日訪れる奈良を代表する神社です。
太古の森に囲まれた場所にあり、フォトジェニックな撮影ポイントがたくさんあることでも有名な春日大社。
私自身が実際に参拝してみて、見どころや感想などを簡単に紹介していきたいと思います。
春日大社へは徒歩でアクセス!まずは本殿南門までを紹介
日大社への最寄り駅は「近鉄奈良駅」になりますね。
今回は車でなく電車+徒歩で行きましたので、まずは近鉄奈良駅~春日大社本殿南門までのアクセス方法を、写真と共にお届けします。
近鉄奈良駅の2番出口を上がり、緩やかな坂になっている奈良県庁側へ歩いていきます。
鹿せんべいが売っている広場にて、思い思いにくつろいでいる鹿さんたち。
奈良県民の私からすれば珍しくもない光景ですが、外国人観光客を中心にして大きな驚きと喜びの声でごったがえしています。
そして徒歩で10分程度行ったところで、春日大社参道の入り口で表玄関になる「一之鳥居」に到着。
ここは奈良のメインストリートでもある三条通沿いにあるので、初見の方でも簡単に分かるでしょう。
ここから真っすぐに伸びていく参道を、15分程度かけてひたすら歩いていきます。
古来からある由緒ある神社なので、道中には壮大な原生林がたくさん残っており、この大自然も大きな見どころの1つですね。
二の鳥居の手前にあるのが「壺神神社」。
小さいですし道沿いにあるので見落としがちですが、ここは醸造の神様を祭っているとのこと。
道を真っすぐに進むと、檜の樹皮で造られた屋根が印象的な「車舎(くるまやどり)」がありますね。
祭りごとが行われる時は牛車などに乗ってきた貴族の方たちが、乗り物をこの車舎に止めて、参拝に向かっていたそうです。
車舎のすぐ横には「杉の舎」という売店があります。
大仏サイダーや抹茶ソフトクリームなどが人気商品のようで、他にもそばやうどんなどの軽食も食べれるようです。
ただここは食べ物につられた多くの鹿さん達も寄ってくる場所なので、横取りされないように注意が必要ですね。
ほどなくして、「春日大社二の鳥居」に到着。
高さ5m以上・幅8m以上の大きさを誇る鳥居をくぐると本殿は目と鼻の先ですので、否応なしにテンションは上がってきますね。
そして二の鳥居を超えて左手には、「伏鹿手水所」があります。
口に巻物を加えた鹿がモチーフになっている可愛らしいデザインになっており、そこで流れ落ちる水をひしゃくで受け、参拝前に手と口を清めます。
また近くには罪や穢れ祓う神様が祭ってある「祓戸神社」があるので、この手水所と併せて心身を清めてから本殿への参拝へと向かいましょう。
その本殿への通り道である、表参道沿いには数多くの石燈籠が設置されています。
この春日大社の石燈籠は平安時代から寄進されてきたもので、その数は約2,000基以上にものぼるとのこと。
1つ1つ微妙に形や書かれている文字が異なるので、その違いも見どころですね。
ここまで来ると春日大社本殿はすぐそこですが、その前に忘れてはいけないのが「榎本神社」です。
そもそも春日大社はその四方を「回廊」という細長い建物で取り囲まれているのですが、この榎本神社はその回廊上にひっそりと設けられいます。
なんでも春日大社建造前から存在する歴史の古い由緒正しき神社であり、健康長寿のご利益があるとのこと。
ほどなくして、本社の正門である「春日大社本殿南門」に到着です。
高さ12メートルを誇る二階造りの楼門で、美しい朱色の威風堂々とした佇まいが本当にカッコいいですね!
さっそく南門をくぐって本殿へと行きたいところですが、その前に見どころとなるスポットがあります。
それは「出現石」という木の柵で囲われた石です。
説明書きに記載されていますが、太古の時代に神様が降臨する憑代(よりしろ)として祀られた鎮座だとか。
この出現石については様々な諸説があるようですが、春日大社の中でも屈指のパワースポットとして人気のある伝説の石なのです。
ここまで徒歩でのアクセスを紹介しましたが、案内板なども出ていますので、簡単に到着できるかと思います。
また所要時間としては、約25~30分程度でしょうか。
それでは早速、春日大社の境内へ向かいましょう。
いよいよ春日大社の境内へ!通常・特別参拝の見どころについて
いよいよ南門をくぐって、春日大社の境内へと入場。
通常参拝と特別参拝の2つがあるのですが、まずは通常参拝からご紹介していきます。
拝観料がかからない通常参拝
南門を過ぎるとまず最初に目にするのが、本殿に向かって賽銭箱が設けられている一般参拝所の「幣殿・舞殿」です。
仕切りなどはありませんが、東側2間が幣殿で、西側3間は舞殿。
そして幣殿は天皇陛下からのお供え物を納める建物で、舞殿は皇室の祭儀である御神楽(みかぐら)を行う建物だとか。
そんな幣殿・舞殿のすぐ近く慶賀門を入ったところにあるのが、「砂ずりの藤」ですね。
この藤の木はなんと樹齢800年を超え、満開時には花房が1メートル以上にも及ぶとか。
なので地面の砂に付くほどまで伸びるところから、「砂ずり」と呼ばれているそうです。
見ごろを迎えるのは4月~5月辺りで残念ながらシーズンオフでしたが、その緑豊かな佇まいはとても美しく、神秘的な雰囲気を醸し出していました。
そして「慶賀門」という大きな門をくぐると、春日大社の「西廻廊」にあたります。
目にも鮮やかな朱塗りの柱が連なるこの回廊が、本殿をグルっと取り囲んでいる形ですね。
とにかく現実離れしたフォトジェニックスポットなので、カメラを片手に持った多くの観光客から人気を博しています。
拝観料を支払って春日大社の特別参拝へ!
次に紹介するのが、500円の参拝料が必要な特別参拝です。
特別参拝受付所は南門の右手側にあり、そこで拝観料を支払いチケットを購入して入場します。
経路順に沿って歩いていくと、ご本殿の手前となる中門にあたり、この回廊は左右10メートル以上に伸びています。
そしてなんといってもこの回廊の軒下には、釣燈籠がビッシリと吊り下げられているのです。
このような春日大社回廊内にある釣燈籠は、1,000基以上あるとのこと。
またあまりにも数が多くて、どれが私には分かりませんでしたが、
・5代将軍徳川綱吉
・藤堂高虎
・直江兼次
・宇喜多秀家
などのような日本の歴史上の有名人が奉納した釣燈籠も、この中にはあるようです。
とにかく圧倒される数の釣燈籠があり、その華やかな光景は参拝のハイライトといっても良いぐらい見どころ十分です。
そしてこれが1300年近い歴史を誇る、「春日大社本殿」になります。
ここは基本的に撮影していい場所なのですが、奥にある本殿が映ってしまうような正面から写真を撮るのはNGなのでご注意ください。
その後も看板にて順路の案内があり、中門から右手に行くと「東回廊」に入ります。
この東回廊にも当然のごとく、釣燈籠がズラリと設置されています。
金色の燈籠は、比較的新しい時期に奉納されたものなのでしょうかね。
春日大社の燈籠は歴史深く見た目的にも非常に美しいので、多くの参拝者がここで足を止めて思い思いに写真撮影しています。
またこれは後から調べたことなのですが、これら回廊内の釣燈籠と、境内・表参道にある石燈籠の合計約3000基に一斉に灯がともる、「万燈籠」という神事があるようです。
その万燈籠は2月の節分の日と、8月14・15日のお盆の夜に毎年開催されるようで、一体どのような光景なのか、1度でいいからこの目で拝みたいものです。
そして東回廊を抜けた先にあるのが、「御蓋山浮雲峰遥拝所(みかさやまうきぐものみねようはいしょ)」ですね。
この場所は春日大社の裏山に該当し、奈良時代に「武甕槌命(たけみがづちのみこと)様」が天から舞い降りたという伝説の場所です。
なので古くから入山禁止の禁足地であり、参拝者に対してもしっかりと禁止事項が記されています。
パワースポットとしても有名で、なんとも神々しい雰囲気を醸し出しているわけですが、それもそもはずここは春日大社境内の中でも聖域に当たる特別な場所です。
なのでその前に立っているだけでも、自然と背筋が伸びる思いがしました。
そして再び廻廊を戻って中門の脇を超えて進んだ所にあるのが、「岩本神社」です。
この岩本神社は、社頭の大杉の根元にひっそりと存在する小さい神社。
ですが受験合格や和歌の神様として知られており、特に受験シーズンになると合格祈願に来る人で行列ができるほどの人気だとか。
岩本神社のすぐ脇には内侍殿と御廊を結ぶ階段があり、その形が斜めに捻じれているところから、「捻廊(ねじろう)」と呼ばれています。
作者は江戸時代に腕を振るった、工匠・左甚五郎とのこと。
階段だけでなくほぼすべての部材が、高い技術によってがねじれた形で作られているから驚きです。
その捻廊のすぐ傍には、「風宮神社」という風を司るお祓いの神様の神社があります。
そしてこの風宮神社の御垣にある木は、
・ツバキ
・カエデ
・フジ
・ナンテン
・スノキ
・ニワトコ
・ヤマザクラ
という7種類が共存する珍しい木となっており、「七種寄木(なないろのやどりぎ)」と呼ばれ、「宿る」という言葉から安産祈願の木として知られています。
そして「後殿各社参拝所」です。
柵が立てかけられていて中には入れませんが、ここから後殿の末社(八雷神社、栗柄神社、海本神社、杉本神社、左軍神社)を参拝することができます。
もともとこの後殿御門は明治維新以来ずっと閉じられていたそうですが、2015年の60次式年造替を契機にして、140年ぶりに開門されることになったとか。
その次は「藤浪之屋(ふじなみのや)」です。
入口の布をくぐって中に入ると、真っ暗な空間の中に点火された状態の無数の釣燈籠。
先述した夏と冬の年2回だけ行われる、「万燈籠」を再現したものとのこと。
藤浪之屋の中はそこまで広くないのですが、合わせ鏡で釣燈籠がずっと続いているような造りになっています。
釣燈籠の日は実際にはLED電球を使っているようですが、それでも眼前に広がる幻想的な風景は非常に素晴らしいものがあります。
この藤浪之屋も写真撮影OKですし、観光客の間でもかなり人気のスポットになっています。
その藤浪之屋を出ると、伊弉諾命(いざなぎのみこと)をご祭神として、生命の根源を司どり延命長寿の後利益が信仰されている「多賀神社」が現れます。
また日本三大勅祭に数えられ、毎年3月13日に開催される「春日祭」で用いられる数々の御神宝が保管されている「宝庫」もすぐそこです。
そして特別参拝エリアの終点付近に悠然とそびえ立っているのが、樹齢800~1,000年といわれている「社頭の大杉」ですね。
この大杉は高さ約25m・幹回りは約8mもあり、鎌倉時代後期に描かれた「春日権現験記」の中にも描かれている太古の大木だとか。
特別参拝所の出口手前では、一般参拝所の「幣殿・舞殿」を横から眺めることができます。
画像の左側・庭の奥にある「林檎の木」も有名で、古くはこの木の林檎の結実の数で、その年の農作物の豊凶が占われという伝説が残っているほど。
以上、これにて春日大社の特別参拝は終了となります。
500円の拝観料は必要になりますが、本当に見どころ十分の内容なので、訪れた際はぜひ特別参拝に足を運ぶことをおすすめします。
春日大社のその他の見どころ・おすすめスポット!
春日大社の通常・特別参拝ルートについては上で紹介しました。
これだけでももちろん見どころとして十分ですが、その他の個人的なおすすめスポットを以下で上げていきます。
白鹿みくじが可愛い「おみくじ授与所」
春日大社の本殿南門付近の広場には、社務所が設けられています。
ここでは御朱印・お守り・お札などを授与してもらえるのですが、中でもおすすめなのが「白鹿みくじ」を取り扱っている「おみくじ授与所」です。
春日大社の第一殿に祭られている武甕槌命様ですが、神山である御蓋山の麓に降りる時に乗っていたのがこの白鹿だったとか。
デザイン的には、おみくじを口にくわえたつぶらな瞳が印象的。
おみくじの結果は「小吉」で少しガッカリでしたが、陶器で出来ているので置物として使っても可愛いです。
普通の茶色の鹿みくじが初穂料500円で、この白鹿みくじは600円と100円高いですが、私は断然白鹿推しですね。
縁結び・恋愛成就のパワースポット!「夫婦大国社」
本社から南に外れた場所に存在し、春日大社の末社・若宮15社の1つである「夫婦大国社(めおとだいこくしゃ)」もおすすめ。
大国さま夫婦を祀っている神社は日本でここだけらしく、縁結び・恋愛成就・夫婦円満・商売繁盛のご利益があるといわれています。
特に恋愛においては、奈良県内でも屈指の人気を誇るパワースポットです。
なので女性を中心に多くの参拝客が、この夫婦大国社へ訪れています。
絵馬はピンク色の可愛いハート型で独り身の方はもちろん、未婚のカップル2人の名前を並べて願いを書くと結婚できると評判。
そしてこの夫婦大国社の名物が、「水占い」というもの。
自分で選んだおみくじを、水占所にて水に漬けることで、文字が浮かび上がってくるというおみくじですね。(値段は1回300円)
独身男性である私もやってみましたが結果は「吉」。
占い結果に書かれていますが、利己的なふるまいには普段からくれぐれも気を付けたいと思います。
金運・財運アップの神様!「金龍神社」
先述した若宮15社の中から、もう1つ個人的に推したいのが「金龍神社」です。
この神社は「金龍大神」というご祭神をお祀りしており、金運・財運の神様として人気のあるパワースポットです。
深い森に囲まれた中にある小さい神社ですが、春日大社の末社の中では珍しく多くの赤いのぼりが立てられていて存在感抜群。
まるで兜を被っているようなデザインの社も、とてもカッコいいです。
奥ばった場所にあるので、地元民中心で知る人ぞ知るスポットでしょうか。
大勢の観光客が訪れている春日大社本殿のような賑わいはありませんが、その分ゆっくり参拝することができるという点でおすすめの場所となります。
多数の国宝・文化財を展示している「春日大社国宝殿」
最後に紹介するのが「春日大社国宝殿」ですね。
春日大社が所有する国宝・重要文化財など、数多くのお宝を展示している美術館です。
なんでも新しく2016年にリニューアルオープンしたようで、現在の外観は白と緑を基調とした非常にスタイリッシュな建物になっています。
春日大社国宝殿の営業時間は10時~17時まで。
入り口でチケットを購入するのですが、入場料は大人500円、高校・大学生300円、中・小学生200円となっています。
この国宝殿ですが、1階部分に関しては自由に写真撮影してもOK。
そして入ってすぐのところでひと際目に付くのが、高さ6.5メートルを誇る超巨大な「だ太鼓」です。
この「だ太鼓」は左右で一対となっており、舞楽や雅楽を演奏する時に使用される太鼓だとか
ただしここまでの大きさは珍しく、日本最大級を誇るとのこと。
極楽浄土を表すかのような色鮮やかな極彩色とそのスケール感には、ただ圧倒されるだけでした。
そしてメインの展示物が飾られている国宝殿の2階部分へ。
ここの展示品はその時のイベントによって異なります。
私が訪れた時は、「人々の祈りを見守る 文様となった招福の動物や植物たち」という催しが行われていました。
2階は撮影NGなので画像はありませんが、動物が施された歴史的な装束や道具などが多数展示されていましたね。
その中でも個人的な一番のお気に入りは、深紅の糸に無数の金細工が散りばめられた「赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい)」という鎧。
ピカピカと豪華絢爛な鎧なのですが、よく見ると厚手の金具部分には虎や雀の細工が。
画像で見せられないのが残念なぐらい、その見事さたるや本当に素晴らしい技術のひとことでした。
時期によってイベントは異なりますが、展示物はどれも文化的・歴史的価値のある貴重なお宝だらけなので、参拝の際はこの国宝館にも足を運ぶことをおすすめします。
実際に春日大社へ参拝して感想・まとめ
それではこのページのまとめとして、春日大社を参拝した感想を最後に述べていきます。
・華やかで壮麗な朱色が美しい本殿
・無数の釣燈籠でフォトジェニックな回廊
・なんとも幻想的な雰囲気が楽しめる藤浪之屋
・現実感のない神秘的な空気を肌で感じれる御蓋山浮雲峰遥拝所
など大きな自然に囲まれた敷地の中には、本当にたくさんの見どころがありましたね。
約1,300年間の歴史を垣間見ることができましたし、奈良県屈指のパワースポットといわれるだけのことはありました。
奈良といえば有名な大仏がある「東大寺」の方が印象が強いかもしれませんが、個人的には春日大社の方が断然好きですね。
また今回の経験をとおして、年2回開催される春日大社の「万燈籠」は、今後の人生の中で一度でいいから体験したいもののリストに入りました。
なにはともあれ奈良に来る機会がある方は駅からも近くて気軽に足を運べますし、行って絶対に損しない神社で間違いないと思いますよ!